シンポジウムで挙がった意見、課題、そしてシンポジウムに寄せられた市民からの質問を提言書にまとめました。この提言書は、2012年5月11日に静岡県(危機管理部原子力安全対策課)、中部電力(静岡支店)に届けました。県内の市町には提言書を郵送しました。

 

 

東海地震により浜岡原発が事故を起こした場合の防災計画策定に関する提言書

 

Ⅰ 論点

1. 国・他都道府県との連携、県民への情報伝達方法2. 避難方法3. 緊急避難場所4. 長期に渡る場合の避難5. ヨウ素剤の配布6. 放射能漏れ事故防止と事故が発生した場合の対策7. 使用済み核燃料の最も安全な保管方法8. 予想される東海地震と原発事故についての日頃の心がまえと準備9. その他       

Ⅱ 提言
 東海地方で巨大地震が発生した場合、浜岡原発が運転停止中と稼働中では、予想される状況は違うばかりでなく、また防災計画の内容も変わってきます。浜岡原発が稼働中の巨大地震が起きた場合、東京電力福島第一原発事故と同等またはそれ以上の規模の放射能漏れ事故が発生する可能性が高く、複合災害防災計画の計画を立てる事は非常に難しいことが予想されます。一方、浜岡原発が運転停止中、また運転停止期間が長ければ長いほど、巨大地震が起きた場合でも、放射能漏れ事故を防ぐ対策を含め、現実的な複合災害防災計画を策定できる可能性があることがわかりました。


 私たちは、現在中部電力が建設中の海面から高さ18メートルの防波堤が完成した後も、浜岡原発の再稼働を望みません。さらに、全電源喪失状態になっても、使用済み核燃料を冷却できるように、現在の水冷式ではなく、津波の影響を受けない高台に乾式貯蔵施設を建設し、そこで空冷式で使用済み核燃料を保管することを、提言いたします。そして、浜岡原発が再稼働しないことを前提とした、複合防災計画を策定することを提言いたします。
 また、私たち市民は、行政だけに任せ、国の方針を待つのではなく、浜岡原発と東海地震、そしてエネルギーについて、自分たちの問題として考えたいと思います。静岡県及び県内の市町、専門家、報道機関、地元企業、そして4月7日のシンポジウムではご参加をしていただけなかった中部電力の皆さまと伴に、複合災害防災計画を策定して行きたいと思います。

Ⅲ 課題
 以下、シンポジウムで挙がった課題は、静岡県、静岡県内の市町、中部電力、専門家、報道機関と共有し、静岡県全体で、複合防災計画策定の一助にしていただけたら幸いです。
1. 国・他都道府県との連携、県民への情報伝達方法

1−1 東京電力福島第一原発事故の経験を踏まえた、地震・津波による原発事故という複合災害が静岡県で起きた場合の避難指示方法と伝達方法の確立・停電時の道路の崩壊や放射能漏れ事故などの情報伝達手段の確立・視覚障がい者、日本語を理解できない外国人への情報手段の確立・放射能漏れ事故が起きた場合の、避難指示の基準の明確化・自治体のHPの携帯サイト、ツイッター、メール、Facebookなどでの情報伝達方法の確立(東日本大震災で、視覚障がい者はツイッターで情報収集をしていた)


2. 避難方法 

2−1 地震、津波、浜岡原発の放射能漏れ事故を同時に発生させないための危険要因の除去(浜岡原発を再稼働させない)・福島第一原発事故でもわかるように、地震、津波、放射能漏れ事故が同時に発生した場合、浜岡原発周辺で海岸沿いの住民は、安全に避難できるとは思えない。地震、津波は自然現象のためどうすることもできないが、原発は運転停止にするだけでも、かなり状況が変わってくる 

2−2 現実的な避難方法の確立・浜岡原発が放射能漏れ事故を起こした場合、避難すべきなのか、屋内に留まるべきなのかの指示を行政からの指示を待つだけでなく、各地区の区長が放射線量測定器を持つようにし、SPEEDIに頼るだけでなく風向きを考え、地区住民独自で避難することも検討する

原子力安全・保安院のHP(原子力災害発生時の住民としての対応)によると、避難時は、自家用車を使わず、行政が用意したバスで避難することになっているが、道路が寸断された場合、行政が避難用のバスを用意することはできない可能性が高い。またバスが無理な場合は、ヘリコプターでの避難と計画されているが、ヘリコプターの場合、住民を大量に避難させることはバス同様に現実的ではない。自家用車で避難できる場合は、渋滞が予想されるので近隣住民が乗り合わせること、また日頃からガソリンを入れておくことなど、住民の意識向上のための研修会などを実施する・緊急時は、大量の住民が一斉に避難することが難しいと予想されるので、避難する住民の優先順位を事前に検討する

・一人で避難することができない障がい者、高齢者などの避難方法を検討する・介護者や民生委員の役割を確認する(東日本大震災では、多くの介護者や民生委員が津波で犠牲者になった。介護者や民生委員は何を優先すれば良いのか?)

2−3 障がい者、高齢者、子どもも参加する避難訓練の実施

2−4 学校、保育園、幼稚園、介護施設の事前の避難方法支援・子どもたちや高齢者を避難させるのは非常に大変であり、マニュアル通りにいくとは限らない。避難させる立場の先生や職員はたいへんな責任を負うことになる。そのため、日頃から、避難方法や場所について、行政の支援が不可欠である。

2−5 避難時のペットや家畜の取り扱いについて


3. 緊急避難場所

3−1 放射能漏れ事故にも対応できる津波タワーの建築と既存の津波タワーを放射能漏れ事故に対応できるように改築・津波タワーの最上階を、コンクリート製で密閉性を兼ね備えた建物にする・津波タワーの階段は、子ども、障がい者、高齢者が登りやすいものにする

3−2 障がい者と高齢者に配慮した避難所・段差、手すりの設置、トイレなど障がい者と高齢者に配慮した避難所にする・知的・身体障がい者は、大きい音や暗い所が苦手な人が多い。また健常者の、知的・身体障がい者への偏見も心配である。日頃から、健常者に対し、障がい者への理解を深める研修会や勉強会を実施する

3−3 県民への避難ルートと場所の事前周知(避難場所を知らない県民は意外に多い)

3−4 避難中の医療体制の確立・透析など特殊な治療方法が災害時でも受けられる体制の確立(この要望はシンポジウム専用HPに寄せられた質問:透析をしていますが、地震の時にどこで透析を受けられるのかが心配です。かかりつけの医師に相談した所、災害時どこで透析を受けられるかわからないと言われました)


4. 長期に渡る場合の避難

4−1 避難が長期に渡る場合の各地自体での避難先の事前確保・地震だけの場合と違い、原発事故を含む複合災害が起きれば、避難は長期に渡るため、各自治体が丸ごと非汚染地域に長期避難できるように、東海地方以外の自治体と災害時相互支援協定を締結する(牧之原市や掛川市などすでに実施している自治体あり)4−2 保育園、幼稚園、学校の対応・避難生活が長期化した場合、子どもたちの教育について、対応策を事前に検討


5. ヨウ素剤の配布

5−1 学校、家庭、公民館、避難所などへの事前配備、教員、保護者、行政職員へのヨウ素剤の服用方法の説明と指導

5−2 県内全域の40歳以下の県民へのヨウ素剤の配備(風向きにより放射能がどう流れるかわからないため)

5−3 ヨウ素剤の服用の指示系統と県民全員への伝達方法の確立(福島の例を見ると、備蓄があっても服用指示が不明確で、実際に役に立たなかった。各自治体で誰が服用指示を出すのか、個人の判断に任せるのかを明確にしておく)

5−4 ヨウ素剤以外の内外部被ばく予防対策 

5−5 避難時に子どもが内部被ばくを防ぐための特殊なマスクの準備


6. 放射能漏れ事故防止と事故が発生した場合の対策

6−1 浜岡原発で働く人たち(技術者、作業員他)、地域住民の放射能汚染のスクリーニングが実施できる体制の確立

6−2 浜岡原発で働く人たち(技術者、作業員他)が負傷した場合の支援体制の確立

6−3 緊急時に速やかに飲料水、食料、生活必需品など支給してもらえるようコンビニ、飲料水・食料品会社と災害支援協定の締結(すでに実施している自治体あり)

6−4 放射能漏れ事故が起きた場合の、子どもたちが屋外で過ごす時間などの制限の基準の策定

6-5  食べ物が放射能汚染された場合の静岡県の事前対策の検討(学校給食にお弁当可という選択制や子どもたちが摂取する放射線量の基準値の策定など)


7. 使用済み核燃料の最も安全な保管方法

7−1 浜岡原発は最稼働せず、津波の影響を受けない高台に乾式貯蔵施設を建設し、空冷式で使用済み核燃料を保管・乾式貯蔵施設であれば、水ではなく空気で冷却するので、たとえ全電源喪失となっても、使用済み核燃料を冷却することができる。数年間運転停止をし、ある程度冷却しなければ、乾式貯蔵施設に移せないため、現在、中部電力が建設中の18メートルの防波堤が完成しても、浜岡原発は再稼働させない


8. 予想される東海地震と原発事故についての日頃の心がまえと準備

8−1 3.11後に失われた行政と市民の間の信頼関係の再構築をし、市民一人一人が自分のこととして複合防災計画を検討・市民は行政を批判し、行政任せにするのではなく、また県は国の方針を待つのではなく、市民、静岡県市町が複合防災計画を策定し、国に提言する。また、専門家、報道機関、中部電力、地元企業とも協力する。・地区単位でも複合防災計画について考える機会を持つ

8−2 巨大地震により、浜岡原発が福島第一原発事故と同程度の規模の放射能漏れ事故を起こした場合の、静岡県全域の放射能汚染の予想と県民への情報公開


9. その他

9−1 静岡空港にオフサイトセンターを移動する案についての再検討・静岡空港は、浜岡原発から20 キロの地点にあるため防災拠点として本当に大丈夫なのか? 

9−2 東海地震と浜岡原発事故(巨大地震と原発事故という複合災害)についての市民向けの防災・避難マニュアル作成と市民への配布

9−3 中部電力の津波対策による安全対策の再評価・チリ津波の様に周期の長い引き波を考慮していない、土砂、浮遊物等で取水路やプールが埋まることを想定していない、航行中の船が津波に乗って突入することによって取水塔や防波堤などを破壊することを想定していない、など再評価が必要。

中部電力HP、地震対策について 津波に対する安全性

9−4 シンポジウムなど巨大地震と原発事故の複合災害について、行政、市民、中部電力が参加する話し合いの開催・4月7日のシンポジウムのパネリストとして中部電力に出演を依頼し交渉をしたが、出演を断られた

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